たまに、大人というのが何を考
えているのか本気でわからない。 夜中に何かの気 配を感じてふと目を覚ますと、自分のベッドにロックオンが潜り込んでくる所だった。 一人では広すぎるベッドとはいえ、二人ではいっぺ んに狭くなる。 「…ロックオン」 「あぁ、悪い、起こしちまったな」 「いや、それは良いんだ が…」 自分のベッドはどうしたんだ?アレルヤは? 口にする前に「寒いから入れてくれ」とベッドの奥にやられた。 少 し触れた足が驚くほど冷たい。 スリッパも履かずにここまで来たのか。 「…痴話喧嘩」 こ の間ティエリアが言っていた言葉をぼそりと呟くと、目の前の人物は小さく笑った。 「あぁ、そうだな。その通りだ。でも、だって… なぁ?」 最後の方はどちらかと言うと独り言に近かったと思う。 何があったのかは知らないし、第一痴話喧嘩が何な のかもよくわかっていない。痴話ってなんだ。 けれどそういうのならそれは痴話喧嘩なんだろう。 「なぁ、好きだか ら喧嘩するってかんじわかるか?」 「…よくわからない。喧嘩は相手が気に入らないからするんだ。好きなのに喧嘩はしない」 「うー ん…だよなぁ」 その同意が相手が気に入らないと言うことに対しての同意かと思って少し不安になる。 「ロックオン はアレルヤが気に入らないのか?嫌いになったのか?」 そうなったら俺とティエリアはどうすれば良いんだ。 今更あ の施設に帰るのは嫌だ。 縋るように聞くと、ロックオンは一瞬きょとんとして、それからぷっと吹き出した。 「馬鹿 だなぁ。そんなことあるはずないだろ」 そうか。それなら良かった。 安心すると一気にまた眠気が襲ってきた。 「眠 い」と言うと布団から彼の手が伸びて頭の上に置かれる。 撫でられてなんだかくすぐったい気持ちだ。 最後にこんな 風にされたのはいつなんだろう。 まだ本当に小さい時、母親からされたかもしれない。けれど、それも定かではない記憶だ。 「… ロックオン」 「なんだ?」 「好きなのに喧嘩するのはなんでだ?」 「…好きすぎるからだよ」 やっ ぱりよくわからない。 「ーいつか教えてくれる人が現れるさ」 そ う言われた時、一瞬あの男の顔が浮かんだが、それはもやもやとした眠気の中に消えていった。
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