刹那の寝息が聞こえてまもなく、ドアが開いた。
「…こんな所に居たんですか」
「ーアレルヤ」
「部屋に戻りましょう」
それなりに怒っていたはずなのに、顔を見た瞬間になんだかどうでもよくなった。迎えに来てくれたことが嬉しかったのかもしれない。
「…やだ」
けれど駄々をこねたくなった。
「刹那が狭いでしょう」
「寝てるし大丈夫だよ。俺も眠いしここで寝る」
「ロックオン」
アレルヤが困ったように笑う、その顔が堪らなく好きだからだ。
ベッドに近づいてきたアレルヤに腕を伸ばす。
「どうしてもって言うんなら抱いて連れてけ」
「…無理ですよ」
「なんで」
「腰痛めて動けなくなったらどうするんですか。体の大きさはそう変わらないんですから」
「そしたら俺が一日中看病してやるよ」
「それは…」
魅力的かもしれない。
そう聞こえたかと思うと体が浮いて世界が反転した。
アレルヤに担ぎ上げられているのだ。
別にロマンチックな事を想像していたわけではないが、これでは荷物と変わらない。
少々不満に思いながらそのまま運ばれ、部屋のベッドの上にどさりと下ろされた。
「不満でしたか?」
「…別に」
「すみません、今度までには腕も腰も鍛えておくので」
冗談だか本気だかわからないけれど、とりあえず置いておこう。
「じゃ、今は抱きしめてくれ」
「全く…あなたには敵いませんね」
大好きなその笑みの後、身体中で彼の体温を感じた。