*ティエリア9才、刹那8才。















当時、俺は孤独に慣れた子供だった。だからこそ、並んで居てくれる存在が大好きだったのだ。






「ティ エリア、」
「刹那?」
今日は『おうち』のみんなと出かけてる。
さいしょはティエリアといっ しょに歩いてたのに、いっぱい人が来て少しずつティエリアが遠くなった。
「すいません、通して…刹那!」
俺がが んばって手を伸ばして、ティエリアがいっしょうけんめい俺のとこに来ようとしてくれたけど、道を歩く大人たちはぜんぜんわかってくれない。
「… 絶対戻って来るから、そこに居ろ!」
ティエリアの顔が見えなくなった。
「ティエリア!」
あ わてて何度も名前を呼んで、スミレ色の頭を探したけど見つからなかった。
ティエリアが『居ろ』って言った『そこ』も、人にはじかれる たんびに分からなくなった。
今、俺はどこに居るんだろう。
「…どうしよう」
足がつかれたか ら道のはしっこにヒザを抱えて座った。
目の前を忙しそうに通る人たちは俺に気づかない。
さいきんはいつでもティ エリアがいっしょに居てくれたから、この感じは久しぶり。
ひとり。
前はずっとそうだった。
だ れかは居たけど『いっしょ』じゃなかった。
ずっと、ひとり。




「お や、迷子かな?」
急に頭の上から声が聞こえた。
びっくりして顔を上げたけど、その人はすごく背が高い。首が痛く なるくらい見上げても顔が分からない。と思ってると、その人がかがんでくれた。
その人は男の人で、
きらきらして た。
金色の髪も、緑色の目も。何より、笑った顔が。
きらきら。







「刹 那っ!」
「!ティエリア」
いっしょうけんめい背のびして手をふると、気づいたティエリアは走って来てくれた。
「大 丈夫か?ケガは?」
俺を心配してくれるティエリアがすごくうれしくて抱きついたら、ぎゅーってしてくれてもっとうれしくなった。
「悪 かった。一人にして、」
「一人、ちがう」
ふり向いて『ありがとう』を言おうとしたけど、あの人はもう居なかっ た。さっきまでそこに居て、いっしょだったのに。
「…誰か一緒に居てくれたのか?」
うん。
「ど んな人だった?」





「きらき らの人!」
















ちなみにハムは19歳。