排除行動














最初に捨てられたのは靴だった。
ここへ来る時に確かに履いていたはずなのに、何処を探しても見つからないのでグラハムに尋ねれば
「だって、必要ないだろう?」
と返ってきた。
君はここから出ないのだから。
玄関のフローリングに押し倒された体がきしんだのを覚えている。
彼の無邪気さを装う笑顔は口元と目だけを残し、無骨な仮面が本心をひた隠す。
その下の傷を見たことが有る。
歪んでいて、歪みきっていて、端正な眼と唇とで見事なほどの不協和音を奏でいっそ美しかった。
   


彼は俺を愛している。


   
次に捨てられたのは服だった。
目覚める前までは寝室の床に散らばっていたはずなのに、見当たらないのでグラハムに尋ねれば
「だって、必要ないだろう?」
と返ってきた。
どうせすぐに脱いでしまうのだから。
巻きつけたシーツすらもはぎ取られ、あばかれた。 「どこにもいかないでくれ」
すがるように全力で抱きしめられて息が止まった。
   




彼は俺を憎んでいる。     
俺は破壊者。 だから先ずは、この、享受し続ける生活を破壊しなければ。
動かなければ。
世界が
ガンダムが
俺を呼んでいる。