「いいね、温泉。あったまるよ。…おや?刹那、どうした?」

先に風呂から上がっていた腰にタオルを巻いた状態の刹那が険しい顔で何やら考え込んでいる。その手には…

「浴衣がどうかしたのかい?」

「…ゆかた?」

「……もしかして、浴衣、初めて?」

こくん、とうなずく刹那。ぅおうっ!これは予想以上だ!!

思わぬ萌えポイントに心の中でガッツポーズをとった。

「えーと…じゃあ、着せてあげよう」

帯をきゅっ、と結んで刹那に着付けてあげた。

「はい。できた」

「…」

自分の格好をまじまじと見つめる刹那。うん。思ってたとおり、いや、それ以上に

「…可愛い」

かっ、と顔を赤らめた彼の腕をつかんで引き寄せ、抱きしめる。

「…グラハムは着ないのか」

「ん〜いいや。どうせすぐ脱ぐし」

「?」

少し身を離し、疑問符を飛ばしている刹那の唇を奪う。

「っ。…んぅ」

長い時間をかけてから、彼の徐々に甘くなる声に誘われるように、首すじにもくちづける。

「…あ、っ」

浴衣の襟元を広げて、肩や鎖骨にも。

「…グ、ラハム…」

「…なんだい」

乱れた息のなかで刹那が問うてくる。

「ど、うして、…脱がすのに、着せる…?」

「…分かってないねぇ、刹那」

「?」

彼の耳を嘗めながら囁く。

「っ!」

びくん、と反応する刹那。



「脱がすために着せるんだよ」