「し、シャワー浴びてくるからっ」

レストランで食事をとった後、ホテルの部屋に入ったとたんに抱きしめられた。ばくばく言ってる心臓を押さえつつ、退避してきた洗面所兼脱衣所は暖かい色合いで統一されている。

既に手を繋いでデート、という当初の目的は達成されている。もう脱いでしまおう、とシャツの裾に手をかけた時

「刹那、」

控えめに呼ばれて目線をやるとグラハムが居た。

いつの間にそこに。

「どうした」

「すまない、どうやら我慢できないようだ」

何を、と問う間もなく再び痛い程抱きしめられてその答を知った。

「グラハム、ちょっ、いたい」

腕の力が弱まり、そのままキスが降ってくるのかと思っていたが、予想に反して後ろを向かされた。ちょうど、洗面台に手を置いて鏡を覗き込むような体勢だ。

スカートの中を探られ、下着を一気に膝の辺りまで下ろされた。

「なっ!や、止め」

「無理だ。…刹那、可愛すぎ。」

背後から覆いかぶさるグラハムの、ほとんど剥き出しな腿を撫で上げる大きな手と耳元の心地良い高さの声に体が熱くなるのを感じた。

「これでも、ホテルまでは、と堪えたんだ…もう待てない」

「え、やっ、…ぁ」

前を擦り上げられ、耳を嘗められる。ついさっきまでそんなつもりは無かったのに、彼の行いにかってに体が反応した。

背中の重みが消えてグラハムがしゃがみ込む気配がした。どうしたのか、と振り向く前にスカートが完全にめくり上げられた。

「っ!グラハム、」

服は着ているのにもっとも隠すべき部分は外気に曝されてしまっている、という状態に羞恥心が増した。頬が燃えるように熱い。

慌てて逃げようとする腰を拘束され、大きな手で割れ目を開かれた。

「ひぁっ、あ…ゃ」

体内をぬるりとした感触が犯す。

「は、ぁっ、」

真後ろで濡れた音が響いた。グラハムが何をしてるのかは見なくても分かった。あぁ、そんな所を…

「…指、入れるよ」

背中にグラハムの温もりが戻ってきたと同時に、慣らされた体に彼の指が突き入れられる。

「っ!あ、や…ぁっ!」

一本、二本と数を増やされ、中をいいように探られてそこにばかり神経が行っていたのだが、

「まったく、そんな顔して…」

溜め息と熱を含んだ声とともに、いつの間にかうつむいていた顔を正面に向けられた。

目の前には鏡。そこに映っているのは、うっすらと微笑むグラハムと…自分。

耳どころか首まで真っ赤になる自分の姿をこの目で見てしまった。

急いで固く目をつむり、顔を背けた。

「刹那、ちゃんと見てごらん」

グラハムの無駄に楽しそうな声にぶんぶんと首を横に振った。

だって、あんな…顔を、俺は、そんな、

「可愛い…」

耳朶に噛み付かんばかりに近くで甘く囁かれ、三本の指が体内から出て行く。…ひくひくしてる。

「ん、ぁ、やっ、ああぁッ!!」

変わりに侵入してきたグラハムのせいでそのすき間が埋められた。

「ぅ、やぁっ、グラハ…あぁッ!」

既にぎりぎりまで高められていて、前の先端に触れられた瞬間に欲望を吐き出した。



「…本当に可愛いな、刹那…」