知らない場所へ行く為の必需品。




グラハムの真っ直ぐな瞳と言葉。気付いたら…うなずいていた…。

親、兄弟、友達、仲間、敵、他人。そのどれとも違う『恋人』という関係は俺には未知の領域だ。

普通の人間関係でさえ把握しきれていないのに。

これから何が起きていくのだろう。

少し、不安だ。

けど

俺を膝の上から降ろしてくれないグラハムを見上げた。

「ん?なんだい」

嬉しそうに、幸せそうに笑う彼。

寂しそうでも、泣きそうでも、辛そうでもない。

ちゃんと笑ってる。

…安心した。

あの時、俺の臆病な答えはグラハムを悲しませたから。



「…何でもない」

彼の肩に頭をすり寄せて目を閉じた。



あなたが笑ってくれるなら



多分

俺は大丈夫。