*グラ刹「餌付け」後の話です















今日の仕事を終え、家に帰って来たその時、携帯が鳴った。
ーグラハムだ。なんだろう。
「はい」
『聞いてくれカタギリ!!!』
電話に出るといきなり、興奮したグラハムの声が飛び出した。
耳がじんじんする。
『刹那に会えたんだ!』
「…誰だ?」
『この前話しただろう?!忘れたのかっ』
「…あ、あー思い出した。君が『野良猫』と称したあの」
『そう!刹那だ!!今日も柄の悪い奴らに絡まれていたらしくてね、私が見たのはちょうど彼が相手に回し蹴りをくらわす場面だったのだが、その瞬間と言ったら、もう、芸術品として飾っておきたいくらい綺麗だったよ!』
怒涛の勢いで喋り出すグラハム。
僕が口を挟む間なんて有りはしない。
『家まで送って行ったんだが、マンションの前で目をそらして礼を言う姿の可愛いことっ!!』
もはや相槌すら打たずに聞き役に徹する。
これからグラハムが『刹那』君に会う度にこんな電話がくるのだろうか。





…グラハムには悪いがなるべく会えないで欲しい。