シャ ワーを終えた自分の身体を見てアレルヤが眉を潜めたことにライルは気づいた。
ミッション終了後のアレルヤの部屋。戦闘の興奮覚めやら ぬ中、押し掛けたのはライルだった。
「どうしたんです?」
「何が?」
「痣だらけだ」
足 と腕がとんでもなく酷いですよ。続けられた言葉にあぁと納得する。
「教官殿が厳しくてな」
「…あぁ」
今 度は彼が納得する番だった。ライルがアレルヤと顔を合わせるのは一週間ぶりである。その間ライルはティエリアにみっちり訓練を受けていた。生身での接近 戦。そのことをアレルヤは思い出したのだ。
「訓練は順調ですか?」
「どうだろうなぁ。ティエリアとは互角にやり あえるようになったけど刹那には敵わないな」
この痣のうち刹那との訓練で出来たものも多い。彼の身のこなしの軽さには驚くべきものが ある。相手の懐に入ったと思っても次の瞬間には攻撃はかわされ一発入れられているのだ。おまけに急所を正確に突いてくるからたまに動けなくなるほど痛い時 がある。
今まで刹那がどういった訓練を受けてきたのか知らないが、ライルだって自分は弱くないと思っていた。だが刹那の速さは潜在的 な物も感じさせるし、それに彼には持久力もある。ライルにはそれがない。長期戦になるとすぐばててしまうのだ。ソレスタルビーイングに来るまでの訓練の少 なさが原因と言うよりも、これは年のせいかもしれない。
悲しいねぇ、と心の中で自嘲したところでアレルヤが小さく笑ったのでそちらに 意識を戻す。
「へぇ。刹那、強くなったのかな。4年前は僕が4人の中で1番だったんですよ」
「そうなのか」
「う ん。やっぱりロックオンは刹那に敵わなかったな」
「ふぅん」
アレルヤの口から兄の話を聞くことは嫌いでは無かっ た。比べられるのは嫌なのだが、それでもここで自分と同じ名前を持った兄がどんな風だったのか知りたかった。
「でもまぁ、良いんじゃ ないですか」
もう少し聞いていたいと思ったのに、あっさり組み敷かれて少し不満に思う。最も、最初からするつもりではあったのだが。
「あ なたが得意とするのは遠隔射撃だ」
そう言うとさぁこの話は終わりと言わんばかりに唇を会わせてくる。すっかりスイッチが切り替わって しまった彼に少し驚きながら、キスひとつでその気になってしまった自分にも呆れた。



前 言撤回。俺もまだ若いかもしれない。