時
々仕事をして、基本的には一日中家にいるような生活をしている。 「絶対怪しまれるな」と言ったのはロックオンだった。それはここに 引っ越して来た時のこと。 「何を?」 その時確か僕は持ってきた本を本棚に片付けていた。あまりなかった荷物の中 で、それなりの量を占めていたはずだ。 「めったに仕事に行かない、男の2人暮らし。どう考えても変だろ?」 「そ うだね。いや?」 変な噂(決して間違ってはいないのだが)をたてられることは。 尋ねると、ロックオンは愉快そう にけらけらと笑った。 「いやじゃねぇよ。どんな噂されたって、俺たちは変わらないだろ?」 「うん」 そ れに、怪しまれるのはどこに行ったって同じ事だ。 別に気にしないし、それでもいいと思ったから僕はここにいるんですよ。 「あ なたもそうでしょう?」 お気に入りの本を片手に振り替えると、ロックオンはいとおしそうに目を細めた。 「うん」 も ともと彼が好きだった読書は、いつのまにか僕の趣味にもなっていた。 そういう小さな変化は、ふと気づいたときになんだか照れくさくな る。自分の生活の中にしっかりと彼が根付いていることがなんだか不思議だ。 「なぁアレルヤ、どうしよう」 しばら くして、また背後でロックオンの声がした。 どうしよう、と言う割にはやけに声が弾んでいる。 「どうかした?」 「こ れから毎日アレルヤと一緒だろ?飽きたりしないか?」 結構シビアなことを言っているのに笑顔だ。そんなことはないとわかっている。 気 分が高揚していて、構ってもらいたくて仕方ないといったかんじ。 まるで子供みたいだ。可愛いひとだなと素直に思った。 「そ んなことありえないよ」 「でもさ、そんなに毎日なにかあるってわけじゃないぜ?毎日暇なだけかも」 僕はたまらず 笑った。何もすることがないだなんて最高じゃないか。 「ロックオン」 1日中なにもすることがなければ、二人で ずっと本を読んでいてもいい。 どの本が面白かったか、感想を言い合うだけでもきっと楽しいはずだ。 「さっきロッ クオンが言ったんだよ。僕たちは変わらないって」 あなたが一緒ならば、僕はそれだけで幸せになれる。
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