forever and a
day (side L)
I vow everlasting love to you.
長い長い夢を見ていた気がした。
ゆっくりと目を開けると真っ白の天井。
自分の部屋では無い。どこだここ。
…俺、どうなったんだっけ?
確か、国連軍が攻めてきて、出撃して、それからー…それから?
記憶がすっぽりと抜け落ちて何があったのか全く思い出せない。
身体中至る所が痛くて、全体的にだるい。
やられたのか?誰に?どうやって?
考えれば考えるほどわけが分からなくなる。
首をひねって辺りを見渡すと、そこがトレミーの治療室だということが分かった。
どこかに捕虜になったわけではないらしい。なんだかほっとした。
何があったのかなんとか思い出そうと頭を掻くと、何かがきらりと光った。
「……これ…」
最初にあったのは驚きだった。
数ミリの幅がある銀色の指輪が、自分の左手の薬指にはまっていた。
誰がこんなことをしたのか、簡単に予想がつく。
眠っている自分の手を取って、まるで何か壊れやすいものでも触るかのように。
「アレルヤ…」
その手でそのまま口を押さえた。胸の奥がじんわりする。目の前が霞んで行くのが止められない。
感動っていうのか、これ。
「…ロックオン?」
その時ふいにドアが開いて、聞き慣れた声が耳に届いた。
こちらに近づく足音が聞こえて、姿を見た途端に涙が止まらなくなる。
「ロックオン?大丈夫ですか?あの、どこかー」
「アレルヤ、」
狼狽する彼へ腕を伸ばす。ちくりと、傷が痛んだ。
「…ありがとな」
「あ…」
何のことだか察したらしい。頬に朱が散った。
「…プレゼントです」
伸ばした手を両手でしっかりと包んで、アレルヤが答えた。
「プレゼント?」
「今日は、あなたの誕生日なので」
「あぁ…」
ということは、2日間眠っていたのか。
何も要らないと思っていたのに。こんな物が貰えるとは思っていなかった。
「皆心配してるんです。報告しますね」
「うん」
携帯端末を取り出したアレルヤの指には何もはまっていない。
ペアリングに違いないから、恐らくアレルヤは自分の分は自分で持っているのだ。
後ではめてやろうと思いながら、自分の指をまじまじと見つめる。
何の飾り気の無いただの輪の様だが、よく見ると文字が彫られていた。
報告をしているアレルヤの背後で、その文字を呟くように読み上げる。
I vow everlasting love to you.
俺もだよ、と心の中で言うのと同時に、アレルヤの携帯端末の向こうから歓声が聞こえた。
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