あいにくその日も会えそうになかった。

ミッションの為だと言われて地球に降りてから今日で一週間。

すぐに上がれるだろうという自分の予想は裏切られ、現地待機という指令が下ってしまった。

そうなるともうこの場所を動けない。

「…ごめんな」

せめて言葉だけでもと繋いだ通信の向こうで、アレルヤが苦笑した。

「そんな、あなたの所為じゃないんですから」

「…それは分かってるけどさ、」

大したことができるわけではない。

一緒にいても、プレゼントなんてあげることはできなかっただろう。

けれど傍に居て、自分が一番におめでとうと言ってやろうと思っていたのに。

そう考えていたことを思い出すとなんだか急に悲しくなって後に続ける言葉を見つけられなくなってしまった。

「…ロックオン、そんな悲しそうな顔しないでください。あなたがこうやって連絡をくれたことだけで十分です」

「いや、でもさ、欲しい物とかほんとに何もないのか?」

もしかしたら、宇宙に上がる前に休暇がでるかもしれない。

そうなれば、買い物などは地球の方が便がいいのだ。

そう思って尋ねると、アレルヤはさらりと恥ずかしげもなく言った。

「−あなた以外にほしいものなんてありませんよ」

顔が熱くなって絶句してしまった。

最初からそれが目的だったのか、そんな自分を見てアレルヤはにこにこと笑っている。

「そうだ、ロックオンももうすぐ誕生日ですよね。何かほしいものありませんか?」

「……お前な」

わかっているのだ、この男は。

普段、ミッションなども通してこちらの言うことに従う彼しか見ていないため、たまにこういう一面を見ると本当にまいってしまう。

「ほしいものあったら何でも言ってくださいね」

「…お前以外にほしいものなんかねぇよ」

満足そうに笑うアレルヤを見ないようにして通信終了のボタンを押し、通信機を置いてベッドに倒れこむ。

真っ赤な顔を枕に埋めながら、プレゼントは十分だろうと呟いた。