アレルヤの出ていった方を見ながら、ロックオンは呆然と突っ立っていた。

(今、何て言われたんだ?)

別れてください、と言われた気がする。

というか言われたのだ。さっきまで塞いでいたあの口に。

信じられない気持ちでロックオンは何とか自分を落ち着かせようと、ベッドに寝転がった。

なんなんだ一体。

最初に好きだと言ってきたのはアレルヤだった。

勿論驚いたけれどもその後キスをした、その必死さが可愛いなと思ったのだ。

そこで、こいつなら別に良いと思ったのが間違いだったのか。

こんなにも早く、壊れてしまうのならば。

「ーアレルヤ」

伸ばした手は何に触れるでもなく空を掻いた。

あぁ、そうだ。

初めて身体を重ねた時、躊躇いがちに触れてきた手は震えていた。

けれど、驚くほど温かかった。

その温かさに流されて、もっともっとと欲しがったのはむしろ自分のような気がする。

…嫌われてしまったのだろうか。

でも、確かに彼は最後にキスを求めた。あれは、気持ちがあったからじゃないのか。違うのか?



いくらでも湧いてくる疑問に答えは与えられず、与えられるのは胸にぽっかり開いた穴と、確信した自分の気持ちだけ。



「アレルヤ」

返事が無いことは分かっている。

それでも、呼ばずには居られなかった。

「アレルヤ…アレルヤ…!」

涙が頬を伝う。

目を両手で覆ってきつく閉じ、彼の最後の姿を思い浮かべた。

「…苦しそうな顔をしていたな」

なにがそんなに苦しいんだ。

こっちへ来い。慰めてやるから。

目の裏側に移った彼の姿は動くことなく、こちらをじっと見つめている。



もう本当に、これで終わりなのか。もうお前には触れられないのか。触れてはもらえないのか。

「…アレルヤ、俺は、」




俺はこんなにもお前が好きだ。